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桜島による川内原発への影響は?火山の噴火警戒レベルとは? [科学]

平成27年8月15日10時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台は
桜島に対して噴火警戒レベル4(避難準備)を発表しました。

最近、御嶽山や口永良部島の噴火があったばかりですが、
桜島はどうなるのでしょうか。

今回の記事では、

噴火警戒レベルとはどういった基準なのか?
桜島の火山活動履歴は?
先日再稼働した川内原発への影響は?

といった情報について整理しました。






1.噴火警戒レベルとは?

噴火警戒レベルとは、
『火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の
「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標』となっています。

vol_alert_level.jpg
気象庁 噴火警戒レベルの説明より

「警戒が必要な範囲」というのは、噴火警戒レベルごとに火山防災協議会
(自治体・気象台・専門家等で構成)によって、あらかじめ定められた範囲になります。

具体的にはレベル3までが火口周辺もしくは居住地域近くまで、
レベル4以上で居住地域まで対象範囲が広がります。

レベルごとの「とるべき防災対応」については、
自治体の”地域防災計画”によって定められ、
レベルに応じた対応を自治体は行っていくことになります。

こういった小難しい話は気象庁のHPを参照していただくとして、
周辺住民・観光客・登山者が覚えておくべきことは、
以下のレベルごとの防災行動のキーワードでしょう。

【レベル1】活火山であることに留意
【レベル2】火口周辺規制
【レベル3】入山規制
【レベル4】避難準備
【レベル5】避難

現在、火山噴火予知連絡会によって「防災のため観測体制の充実が必要」と選定された
火山は47火山ありますが、そのうちの30火山において噴火警戒レベルが運用されています。

残りの17火山についても検討を進めていくそうです。

level_kazan.gif
※気象庁より


2.桜島の火山活動履歴は?

さて、8月16日現在、噴火警戒レベル4まで引き上げられた桜島ですが、
過去の噴火状況はどうなのでしょうか?

・全島に影響する溶岩流や火砕流、噴石の飛散事例
 天平噴火(768年)
 文明噴火(1471〜1476年)
 安永噴火(1779〜1782年)
 大正噴火(1914年)
 
こうしてみると、およそ200年に一回程度大規模噴火が起こっているということでしょうか。
約70年前の昭和噴火(1946年)においても、溶岩流が海岸まで到達するような噴火が発生しています。

噴火兆候の事例としては、
・大正噴火の前日に有感地震が多発
・昭和噴火の溶岩流出の数時間前に、噴火活動の活発化
などがあります。

こういった兆候を見逃さないようにするのも大切ですね。

桜島においては、火口から概ね2km以内に火砕流が到達するような噴火が
1984年、1979年、1967年、1939年と起こっております。

十分な注意が必要でしょう。


3.桜島が噴火したら川内原発への影響は?

桜島の噴火警戒レベル引き上げと合わせて、
川内原発は大丈夫か?影響はないのか?といった報道がよくされています。

これに対して九州電力は、
「時点で影響はなく、特別な対応は考えていない」としています。

まず位置関係ですが、川内原発は桜島の北西約50kmに位置しています。








原子力発電所の新規制基準は、近隣の火山噴火に対しても安全対策を義務付け
ています。原子力規制委員会の審査において、「桜島は巨大噴火を起こす可能性
があるカルデラの1つに含まれる火山」と分類されています。

姶良カルデラ(鹿児島湾と桜島を囲むカルデラ)は6万年以上の周期で巨大噴火を
起こしており、前回の巨大噴火が約3万年前となっています。
そのため九州電力は「原発運転期間中に巨大噴火の可能性は低く、モニタリングで
巨大噴火の兆候が把握できる」としています。

ここでいう「巨大噴火」とは、なんでしょうか。

約3万年前に姶良カルデラを形成した姶良大噴火の事例です。

・噴火により、岩盤が粉砕されて空中に放出。粉砕された岩塊は霧島市を中心地域に
 最大30mの厚さで降り積もった。中には直径2mの巨礫も含まれる。
・巨大な火砕流が地表を走り、九州南部に広がる。
・火砕流到達範囲は、鹿児島県の薩摩半島と大隅半島の山岳部を除くほぼ全域、
 宮崎県の南西部から中央平野部、熊本県の低地、高知県宿毛市にまで及ぶ。
・火山灰は偏西風にのり、関東地方でも10cmの降灰。

もはや原発うんぬんの話ではなく、
噴火の影響自体で九州に人が住めなくなるレベルの噴火になります。

噴火によって火山灰が降灰した場合については、どうでしょうか。
約1万年前の桜島薩摩噴火では、周辺で12.5cmの降灰がありましたが、
仮に15cmの降灰があったとしても安全性は保たれるとしています。

火山灰による原子力発電所への影響としては、
・外部電源の喪失(絶縁不良によるショート)
・非常用ディーゼル発電機などが火山灰を吸い込んで故障
などが考えられるそうです。

こういった事象に対しても建屋の内部に火山灰が入ることのないよう、
フィルターを設置したり、といった対策を行っているとのこと。

一通りの対策はなされているということでしょう。


4.まとめ

噴火警戒レベル、桜島の火山活動、川内原子力発電所との関連性について
今回はまとめました。

今後は科学系の記事も増やしていければ、と思います。





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